【後立山連峰縦走】扇沢から鹿島槍ヶ岳・五竜岳を経て祖母谷・欅平へ①
ある人曰く、山登りをする人間にはどうしてもたどり着けない山がある、と。
これは技術的に、ということではなく、行こうとすると台風が来たり、体調を崩したり、車が壊れたり。片想い的要因によるもの。
3年前に剱岳登頂中、前剱の門から見た鹿島槍ヶ岳が忘れられず(後日)、それから毎年バスを予約するのですが、悉く悪天候に阻まれ。バス会社に支払ったキャンセル代で何度山に行けることか。
友人には「俺、次の休み、鹿島槍ヶ岳に行くんだ」がフラグにしか聞こえなくなった今日この頃。
今年もすでに7月にトライ、雨で行けず、今年もダメか、、、と諦めていたところ、9月12日のバスに空きが。
「神は言っている、山に登れと」
ということで慌てて予約。それから慌てて有給申請←
天気予報は、少なくとも台風は来ない、初日は微妙だが三連休は快晴だ!
ということで、ついに、念願の鹿島槍ヶ岳にトライしてきました。
結果は、、、結論だけ、、、
大勝利!
3回に分けてお伝えします。
今回の旅の始まりは新宿駅から。
連休前の平日にも関わらず満席です。
バスを待つ人はヘルメット持参、縦走用の大型ザックと、本気度高めの人が目立ちます。
いざ扇沢へ。
このバスには剱岳に行った時にも乗ったことがあるのですが、ただの4列シートで所要時間6時間と少し体に堪える仕様です。
朝の5時30分。深夜バスあるあるの細切れの睡眠をとりながら扇沢駅へ到着。
この時期はアルペンルートの始発が7時30分ということで、立山方面へ向かう方は2時間ほどの待ち時間があります。
この扇沢では「破砕帯の水」ということで、後立山を貫くトンネルの途中から湧く「後立山の天然水」が汲み放題。
今回の行程は途中水場がないため、ここでしっかり水を補給します。
(今回は最終日まで水場がなかったため、本当に水には苦労しました。)
扇沢から大町方面へ10分ほど車道を歩きます。
この鉄橋を渡ると
すぐ左手に柏原新道の登山口があります。
橋の手前に駐車場がありますが、ここは朝6時時点でほぼ満車でした。
登山口脇にある登山道標識を兼ねた木。まさかの蜂の巣注意でした。
しかも登山届けポストのすぐ横。
そんなわけで、ここから2泊3日の後立山の旅が始まります。
登山口の標高が1350m。今日は鹿島槍ヶ岳2890mを越えてキレット小屋まで。標高差1500m! 体力的には今日が正念場。
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柏原新道から種池山荘へ 標高差1300m 快適な登りへ
登山口入ってすぐ右手のガケ崩れポイント。柏原新道は本当に手入れが行き届いていて、要所要所このような注意書きの看板が整備されています。
登り始めはこのような穏やかな石畳のみち。とても歩きやすいです。
個人的には山登りは最初の1時間が勝負だと思っています。
最初に意識してやり過ぎと思うくらいゆっくり歩いて体を作ると、その日1日調子よく登れます。逆にここで失敗すると地獄、、、
どうしても街歩きのテンポが体に染み付いているので、これを山に適したテンポにチューニング。駅の階段登るようなテンポでは10分とて持ちません。
最初穏やかな柏原新道は体を作る意味でとてもありがたい。
登り始めて1時間くらい。この崖注意の看板を超えると
この日始めて開けた場所に出ます。左手には扇沢の駅や赤沢岳がよく見えます。
崖の上足元注意との注意にも関わらず、皆この日始めての展望を写真に収めていました。
さらに30分ほど登ると「駅見岬」
駅見岬からは
なるほど、扇沢駅がよく見えます。
朝立ち込めていたガスも晴れて山並みもよく見えます。
歩きやすい。本当に、歩きやすい。そういえば柏原新道では足を大きく上げた記憶がない。
この「包優岬」、「種池山荘」が見えるのと木々が少し低くなるからなのか、不思議な名前です。
後ろを歩いていた方が「しゅうまいみたいだな!」と仰っていたのが忘れられない、、、
道中、名前のとおり、アザミが群生した沢があります。
柏原新道はまるで危険箇所が無いのですが、種池山荘手前のここが唯一の危険箇所。崩れがちで道が斜めになっており足場も狭い。
てか、木が組んでなかったとしたら足場がありません、、、
振り返ってみる。
おお、大雨の日なんて絶対通りたくない、、、
この鉄砲坂を登りきると種池山荘です。
9時ちょうど。種池山荘に到着です。
ピザが有名な種池山荘。残念ながらピザは10時からです。とのこと。
振り返ってみると
みごとな雲海。
季節は秋。雲海の先の空はとても透きとおっています。
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種池山荘から鹿島槍ヶ岳へ 大絶景の縦走路へ
さあ、ここからは1300mを登りきったご褒美の時間です。
種池山荘から少し歩いて振り返ってみると。
あれは、剱岳大先生じゃないですか!
左から立山、真砂岳、別山、そして剱岳。手前には種池山荘のオレンジ色の屋根と、ハイマツの林。
なんという絶景でしょうか。
この向きから剱岳をみるのは初めてですが、それでも一目でそれと分かる山容。この後後立山の山並みを北上していくにつれ色んな表情を見せてくれる剱岳にこうご期待。
鹿島槍ヶ岳の双耳峰もはっきりと。
登りなら半袖でちょうど良い気温ですが一部の葉は色が変わっていました。
右手には冷池山荘が。
あそこまでならすぐ行けるなぁ、と思いましたが、これが結構思い違いで、大変でした。
まだチングルマも穂となって頑張っていました。
振り返ってパシャりと。
ちょっと標高を上げただけなのに、立山がはっきりと見えてきました。
種池山荘から1時間弱で爺ヶ岳。今回は通過点なので、南峰に少し立ち寄るだけに。
それでもここからの景色は360度の絶景でした。
遠くには槍も見えます。
さあ、冷池山荘方面へ。
左を見れば、自然と顔がほころびます。
剱岳大先生、、、、まじかっけぇ
意外と冷池山荘は遠かった。特にこの登り返し。見ての通り山荘の手前が結構急です。しかも爺ヶ岳からここまでもかなり標高を落としています。
そんなわけで冷池山荘。
玄関だけお邪魔しましたがとても綺麗な山小屋でした。この時点で11時。
「今日キレット小屋まで行くんですよー」と言ったら、訝しんだ目で時計と私を見比べる山小屋のお兄さん。
分かってますって、ペース上げ目に登っても結構ギリギリの時間ですね。頑張ります。
(コースタイム通りでは絶対15時には間に合わないコースなのです。)
振り返って冷池山荘。思いの外すごいところに建っています。
ちなみに冷池山荘のテント場はこのもう少し上。トイレ行ったりにも不便しそうですが、その代わり。
みよ、このロケーション。
剱・立山を見ながらのテント泊だなんて、最高かよ。
次はテントもってここにテント泊に来たいものです。夕日に朝日。考えただけでぞくぞくします。11時なのでまだテントはまばら。
引き続きずっと左手に剱・立山の大絶景をみながらの稜線歩きです。
あれは布引山かな?
鹿島槍ヶ岳まではいくつか地形図に現れないピークも通過しますが、名前が付いているのは布引山だけ。
振り返れば槍ヶ岳の穂先も。
山頂手前の最後のピーク。ビクトリーロードだね。これは。
山頂手前にはこんな赤くそまった葉もみえました。
先ほどの小ピークを振り返って。雲海も出てきていい感じ。
そして、
12時44分。2889mの鹿島槍ヶ岳の山頂に到着!
みよ、この広がる視界の広さを。雲が沸き立ってきて景色に色を添えます。
念願の鹿島槍ヶ岳についに到着しました。3年分の大絶景。
思い通りにならないからこそ、登ることができた感動は何倍にも増して感じられるのですね。
反対側には明日から歩く白馬方面の山並み。先には白馬岳の白い姿がはっきりと見えています。
こちらは南峰から。
時間がないからカットしようかと思いましたが、やはり双耳峰。両方行かなければ登ったことにはなるまい。
行って良かった。
また南峰からみる北峰がまたカッコいいのです。この尖り方こそ鹿島槍ヶ岳。
さあ、キレット小屋まで向かいます。
ここから300mほど、急峻な道を下ります。
日本三大キレットの一つ八峰キレットへ。まだまだ気が抜けません。
高度を下げると直ぐにガスに巻かれて視界はこのとおり。
(先程までの絶景が見えたままだと浮き足立つからこれで良かったのかも)
ぐっと降って、キレット小屋手前から、かの有名な
キレット入り口のはしごの橋。
岩の切れ間を通過し、
ハシゴを登り、
え、道ないやん!という細い足場を通過し。
(滑りにく岩であるのと凸凹がはっきりしているので足をかける場所も多く、見た目ほど怖くはない)
14時30分。ついにキレット小屋に到着です。
両側がっつり切れ落ちていて、ほんと、よくこんなところに建てたなぁ。
こんなとんでもないところの小屋に泊まる、というのも今回の山行の目的の一つです。
しばらくするとガスも晴れてきて再び青空が!
剱岳もよく見えます。ここからみるとギザギザ感が際立って感じられます。
さあ、日が沈み始めました。ガスも雲もすべて晴れて、ポジションも完璧。
剱岳の肩に沈む夕日。これ以上の絶景があろうか。
影になる剱岳。逆にその岩の造形が際立ちます。
ありがたいなぁ。
前日の夜行バスと登りの疲れもあって、この日は19時くらいには爆睡。
空いていましたので、一人で布団2つ分のスペースを悠々使えてとても快適でした。
しかも、この日は中秋の名月。月がとてもきれい。
月が明るいので星空はまるで見えませんが
この組み合わせ。この天気。もう2度とみることはできないでしょう。
(明るすぎて写真だと雰囲気でない笑)
月が剱岳の肩に沈んでいきます。
ちょうど、剱岳の剣山荘から稜線にあがる付近に沈みました。剱岳にアプローチする人のヘッドライトらしき明りが見えます。
ちなみにキレット小屋の中はこんな感じ。天井も高く開放的で、この立地でこんなに快適でいいのかしら、というくらいの快適さ。
しかも、窓からは
モルゲンローテ!!!
剱岳が赤く染まっている!!
朝日が見えない立地だと油断した!!慌てて外へ
朝から魅せてくれるね。
陽のあたっているところと、そうでないところのバランスがまた絶妙なのです。
もう、このあと八峰キレットで滑落死しても思い残すことはない。
(もちろん安全第一でいきますよ。)
さあ、キレット小屋を後にして、2日目、五竜岳を目指しましょう。
この後も大絶景の山行が続きます。
今日は一旦ここまで。本日も読んでいただいてありがとうございました。