【後立山連峰縦走】扇沢から鹿島槍ヶ岳・五竜岳を経て祖母谷・欅平へ② 天空の縦走路編
先日の記事では扇沢〜キレット小屋までの道のりを、鹿島槍ヶ岳からの絶景とキレット小屋からみる剱岳に沈む夕陽をハイライトにお伝えしました。
今日はその続き、唐松岳までのまさに、後立山連峰の天空の縦走路とも言うべき道のりについて、書きたいと思います。
今日ももれなく大快晴の1日です。乞うご期待。
朝6時00分キレット小屋出発です。
前日の反省とあまりの快晴に留まってもいられず、予定より1時間の早立ち。
改めて振り返ってみる。これは有名なアングルですね。
本当に、すごいところに建っている、、、
キレット小屋は東側に立入れるスペースがないため、朝日が拝めません。キレット小屋から徒歩10分。ここで本日のご来光です。
今日も雲海が綺麗。山の朝晩は雲が出ている方が圧倒的に綺麗。
麓の人にとっては曇りなんだろうなぁ
写真では伝わりにくいのですが、優しい朝日とそれを受けて輝く草木。背景の雲海。
ここは天国。
美しすぎて今日は右側(東側)に目を奪われっぱなしです。
とはいえ、ここは八峰キレット。その核心部。
歩いているのはずっとこんな斜面。
昨日は滑落死しても悔いはないと言いましたが、(今でもそう思うくらい満足していますが)、気を抜かずに慎重に。
口の沢のコル付近まで北上すると、上越方面の山々が見えてきます。上越方面は冬にスキーで行くことは多いのですが、登山としては未開拓のエリア。台形の山々を始め面白そうな山が多そうです。雨飾山とか妙高の方面かしら?
富士山も今日はいっそうはっきり見えます。
キレット小屋から40分ほどで口の沢のコル。
CTでは1時間の道のり。写真撮りながら、朝一番なのでゆっくり、歩いてもこれくらいのタイムで到着します。危険箇所もほとんどないので、キレット小屋を早立ちするならここで日の出を拝みながら、朝ごはん、なんてプランニングも良いかもしれませんね。
目指す五竜岳がよく見て取れます。
あの稜線をトラバースしながら歩いていきます。
本日も剱岳大先生はこ機嫌麗しく。
この角度からは三ノ窓雪渓(氷河)がとても綺麗に見えます。
ちなみに口の沢のコルにはわざわざテント禁止と書いてあります。指定地以外なんだから当たり前でしょう、と思うかたわら、ちょうど2張くらいはれそうな広いスペースがあって、この絶景。気持ちはよくわかります。
立山のカールもそのお椀型がよくわかります。
10分ほどで北尾根の頭。
絶景スポットが続きすぎて困ってしまう、、、、
昨日登った鹿島槍ヶ岳方面。
鹿島槍ヶ岳って、どちら側から見てもほとんど同じ形なんですね。
ちなみに、今回の旅の相棒CANON G7X MarkII
今まで使っていた一眼レフがレンズ故障・重く感じてきたので、最近はやりの高級コンデジに乗り換えました。(三脚は一眼用の小型三脚をそのまま流用)
さっと出して綺麗に撮る。そしてコンパクトで軽い。
登山にぴったりのカメラです。
いつかこのカメラについてもゆっくり書きたいなと。(山記事ストックがありすぎていつになるか、、、笑)
こんな感じで長時間露光もタイムラプスも手ぶれなしでがっちり狙えます。
景色に見とれて忘れがちですが、そういえば危険な道を歩いていたのだなぁ。
ところどころ、崩壊地の通過も。
キレット小屋を出発して2時間。
さあ、八峰キレット1番の核心部。G5に突入しますよ。
岩が層状に割れているため掴み所はたくさん。
ただ、剥がれそうな岩には要注意。浮石も多いので混雑時は巻き込み・巻き込まれ事故がちょっと心配。
今日は連休初日の早朝ということで人はまったくいないためCT1時間巻きですが、混雑時は順番待ちで相当時間を費やしそう、、、
歩く分には、三点支持を守れば特にムーブに不安な箇所はないと思います。鎖も配置されていますが、安心材料程度、積極的に使う必要はないかと。
ただ、唯一、G5の鞍部に降りるここは、どう動いたらよいのやらさっぱり不明でした。
そして、この鎖が結構邪魔(笑
G5を越えれば八峰キレットもほぼ脱出。越えてきたキレット方面を見返すと。
見えにくいですが岩のてっぺんに富士山が見て取れます。
ここで息を整えて、壁のように立ちはだかる五竜岳にアタックです。
この登り、「壁」のような見た目ですが、ジグザグ登るので思ったよりは楽。
ただ、コースが不明瞭なのか、集中力が切れていたのか、度々コースアウトしました。
40分くらい。キレット小屋から約3時間。
剱・立山方面もこのとおり。雲一つない大快晴。山頂からの大展望はやはり午前中ですね。
本日の目的地、唐松岳と唐松頂上山荘もくっきりと。
これからあの稜線を辿るなんて考えただけでもわくわくしてきます。
キレットも通過して、今日の残り行程も見通せて、時間に余裕がたっぷり出てきましたので、
山頂でコーヒー淹れて本日のスイーツ、六花亭(北海道)の羊羹。
押し出して食べられるので手も汚れず、これは山スイーツとしてかなり優秀。
北海道でしか買えないのが痛恨。
登ってくる方々と、
あの山はなんだとか、昨日はどこの山を登っていたとか、このあとどこの山を登るんだとか、そんな山にまつわるたわいもない話をしながら、写真を撮ってあげたり撮ってもらったりと、1時間くらい山頂でまったりと。
会話のなかで、五竜山荘にかの有名なTシャツが先ほどのヘリ便で到着したとの情報も得ましたので、ぼちぼち次へ向かいます。
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五竜岳から唐松頂上山荘へ ハイキングコースかと思いきや意外と大変
意外と険しい。
冬になると五竜岳の壁面に雪のつかない岩が武田菱の紋様に見えることに由来します。
冬にスキーにくると、天気さえ良ければ誰でも見られますので是非。
これは冬に白馬五竜スキー場に行った時のもの。
この時も天気がよく、遠見尾根の先に武田菱がはっきりと見て取れました。
五竜山荘ではかの有名な「山が好き 酒が好き」Tシャツ。
ずっと品切れだったのが、今朝のヘリ便でやっと到着。なんてタイミング良いのでしょうか。
しかし、何故「山好きと酒好き」はこんなにも一致するのでしょうね笑
晴れてます。
途中やたらとはっきりした踏み跡のある尾根を見かけます。
沢屋さん?にしてもこの沢を下った先には祖母谷方面か黒部ダム方面まで人里もなく、ちょっと不思議。
山頂から1時間ほど(小屋から30分)随分と五竜岳が遠くに見えます。
通称「トトロみち」勝手にそう呼んでます。
久しぶりの身丈より高い木々。
12時30分。相変わらず大快晴。
あの上の方からが「牛首」。牛の背馬の背はよく聞きますが。ここでは首です。
背中ではなく首のように細くアップダウンもある、ということでしょうか。
岩場入り口の看板。牛じゃなくて雷鳥が書いてありました笑
結構高度感のある岩場を通過。
いや、キレットよりここの方が明らかに岩場のレベルが高いぞ、、笑
鎖がかなり低い位置にあるので使わない方が歩きやすいです。
岩は滑りにくかったので、足で立って、手で三点確保しながら慎重に。
あ、モアイだ。
え、モアイですよね。
だれも立ち止まっていなかったのですが、もうわたしにはモアイにしか見えない。
唐松山荘直前が一番の核心部。(唐松側からくると最初が一番険しいということ)
見通せる範囲にすれ違い箇所がないので、コミニュケーションとって順番に通過します。
タイミング悪いと大渋滞ですね。ここは。
先ほどの岩場を越えるとすぐに唐松岳頂上山荘と白馬岳が見えてきます。
13時、唐松岳頂上山荘到着。キレット小屋からゆっくり休憩も込みで約7時間。
この時間なら遠見尾根を下って帰ることもできますが、明日は祖母谷方面へ下山しますので、今日はここで一泊。
さっそく受付ますと、、、
「今日は1畳に3人から4人寝ていただきますねー」
「布団一つに3人から4人です」
え!?
それ、シシャモのように詰め込まれるってことですか、、、、
昔北岳で、一つの布団に2人でもしんどかったのに、、、、 今夜は険しい夜になりそうだ、、
幸いタイミングが良かったのか、割り当ての区画にはまだだれもおらず、早々に端っこを確保しました。これで最悪の事態は免れそう。
気を取直して、お昼ご飯を取りに外へ。
ついでだから唐松岳の山頂でいただきましょう。
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唐松岳頂上山荘でのんびり絶景を堪能。
唐松岳のテント場。ずっと下まで続いています。
小屋から頂上はすぐです。
10分ほどで、唐松岳に到着です。
唐松岳山頂からは白馬岳の眺めがとてもキレイ。
あの雲かかる道を歩いてみたい。次はあの白妙の白馬岳に行くことが決定しました。
ちなみにこの先の道は「不帰の劍(かえらずのキレット)」、日本三大キレットです。
こちらは八峰キレットとは比較にならないほど危険との噂。
何組ものパーティが歩いていらっしゃていました。曰く、「天狗の頭からの下りが怖いので、白馬→唐松は怖い。唐松→白馬の方が歩きやすいよ。」とのこと。
参考にさせていただきます。
山頂でまったりしていたところ、15時頃からガスが湧いてきました。
山荘に戻って、次は夕飯の準備です。
ちなみに唐松岳頂上山荘、
ミネラルウォーター(500ml)=300円
天水(雨水・要煮沸)(500ml)=80円くらい(量り売り)
でした。
とりあえず、料理用に天水を(浄水器で濾過もしました)、扇沢で汲んだ飲料水(3l)もにつきましたので、ミネラルウォーターも1本購入します。
書き忘れていましたが、キレット小屋では天水は無料です。
昨日は夕方雲が晴れましたが、本日は残念ながら夜まで雲は晴れず。
夕陽はお預け。
なお、小屋ではオーナーから明日の道(祖母谷方面)への注意点のレクチャーを受けられます。
エスケープルートも山小屋もないマイナールート。こういう情報は大変助かります。
そのあと、外でしばらく呑んでいましたが、流石に陽が落ちると寒くなり、小屋の中へ。
一体どんな惨状を呈しているのかと怖くて仕方ありませんでしたが、
幸い、一つの布団に2.3人ほどの混雑率でした。
狭いに変わりはありませんが、まあなんとか休める広さ。ほっとします。
(昨日のキレット小屋と比べると4分の1以下ですが、、、、)
戦果としては、
人が多いせいか暑く息苦しく、爆音のイビキが鳴り響き。
それでも3時間ほどは眠れたので強くなったなぁと笑
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今シーズン最高のご来光へ
午前4時30分。ご来光登山勢が動き始めたのをきっかけに激混みの山小屋を脱出。
テント場の灯りがキレイ。
日の出が見える山荘裏の斜面にみな登ります。かっこいい。
朝陽をまつ人々。薄明かりと影になる人がキレイです。
「春はあけぼの やうやう白くなりゆく 山際」
と言いますが、秋に山からみる朝もとても良いのですよ、清少納言氏。
太陽が昇ってきます。
五竜岳が赤く染まります。
唐松岳もこのとおり。
本日も剱岳大先生のモルゲンロート
そして、
来ました!!
雲海もとてもキレイ。最高の日の出。
ガス男と名高き私なのですが、故に朝、低いガスが出てくれるので雲海運だけは自信があります。
今年もこんな大雲海の日の出を拝めて、ありがたいなぁ。
滑落せずにここまで歩いてこられて良かった。
さあ、ここからは八方尾根を白馬に降りるのが普通。
しかし、歩いて富山県に行くのがここ3年間のマイブーム。
トロッコ列車の終着駅・欅平駅まで、8時間。標高差2100m。の冒険的登山。
超マイナールート故の達成感・自己満足感を味わいに、祖母谷方面への下り道。
天空の稜線歩きはここまでですが、
次回、玄人好みの下山道。大自然の下山道編、また読んでいいただければ幸いです。
本日も読んでいただきありがとうございました。